新卒で退職代行を使った体験談|1年後の今だから語れる真実とその後

「新卒で入社したばかりなのに、もう辞めたい」「でも自分からは言い出せない」――そんな悩みを抱えているあなたへ。

私(いしゆみ)は新卒入社3ヶ月後退職代行サービスを利用し、会社を辞めた女性(以下Tさん)とお話をする機会がありました。以下ご本人の許可を頂き、同じ悩みを持つ方にお伝えします。

「あれから1年以上が経過した今、当時の判断が正しかったのか、転職活動にどう影響したのか、そして本当に退職代行を使うべきだったのか、冷静に振り返ることができるようになりました。」Tさんは生き生きとした表情で話をしてくれました。

いしゆみ
いしゆみ

退職を考えているけど不安なあなたへ、
「退職代行」についてホンネで書いた記事をご紹介します。

3000件の退職相談を受けてきた私が、
退職代行を使うべきかどうかしっかり解説しました。

退職代行の記事はこちら

  1. 新卒で退職代行を使った私(Tさん)の基本情報と決断までの経緯
    1. 入社した会社と職種、退職を決意した時期
    2. 退職代行を選んだ3つの理由(自分で言えない状況だった背景)
    3. 利用前に試したこと・相談した相手
  2. 退職代行サービスの選定から実行までの全記録
    1. 比較検討した3社と最終的に選んだサービス
    2. 実際にかかった費用の内訳(追加料金の有無)
    3. 申し込みから退職完了までの時系列(LINEのやり取り実例)
    4. 会社からの反応と私が受け取った連絡内容
  3. 退職代行利用後の時系列での心理・状況変化
    1. 利用直後(1週間):解放感と罪悪感の葛藤
    2. 1〜3ヶ月後:転職活動と面接での説明方法
    3. 6ヶ月後:新しい職場での状況と振り返り
    4. 私(Tさん)の1年後の現在:客観的に見た判断の正しさ
  4. 人事のプロの「退職代行利用者」の採用評価
    1. 大手企業人事担当者の本音
    2. ベンチャー企業採用担当の退職代行利用への見解
    3. 転職エージェントが語る退職代行利用者の市場価値への影響
  5. 退職代行利用の法律的リスクと権利
    1. 損害賠償請求される可能性は実際どれくらいか
    2. 有給消化・退職金・離職票の権利は守られるか
    3. 懲戒解雇と自己都合退職の違い
  6. 業界・職種別|退職代行を使うべきか判断フローチャート
    1. IT・エンジニア職の場合
    2. 営業職・接客業の場合
    3. 製造業・技術職の場合
  7. 退職代行を使う前に試すべき最終チェックリスト
    1. 労働基準監督署への相談で解決できるケース
    2. 社内相談窓口・労働組合の活用方法、
    3. メール・書面での退職意思表示という選択肢
  8. 本当に退職代行が必要な5つの状況
    1. パワハラ・セクハラで出社が困難
    2. 退職の意思を何度も拒否されている
    3. 既に精神的に追い詰められ体調を崩している
  9. 【結論】新卒で退職代行を使った私(Tさん)から今伝えたいこと
    1. 後悔していること・良かったこと
    2. キャリア形成における長期的な影響

新卒で退職代行を使った私(Tさん)の基本情報と決断までの経緯

入社した会社と職種、退職を決意した時期

私(Tさん)が新卒で入社したのは、従業員数約200名の中堅IT企業の営業職でした。就職活動では「若手に裁量を与える」「風通しの良い社風」という説明に魅力を感じて入社を決めましたが、実際に働き始めると想像とは大きく異なる環境でした。

入社1ヶ月目から連日の深夜残業が始まり、先輩社員からは「新人は誰よりも早く出社して遅く帰るのが当然」と言われる日々。十分な研修もありませんでした。ノルマも課せられており、営業成績が達成できない社員は人格否定ともとれる叱責を受けているのを目にする様になりました。

入社2ヶ月目、上司から人格を否定するような叱責を私自身も受けることが増え、毎朝出社前に吐き気を感じるようになりました。

入社3ヶ月目の月曜日、ベッドから起き上がれなくなり、その日に退職代行の利用を決意しました。この時点で私は心療内科を受診しており、「適応障害の疑い」と診断されていました。

退職代行を選んだ3つの理由(自分で言えない状況だった背景)

なぜ自分で退職を伝えられなかったのか。当時の私には、退職代行を選ばざるを得なかった3つの明確な理由がありました。

第一に、上司に退職を切り出せる精神状態ではなかったこと。上司と二人きりで話す状況を想像するだけで、動悸が激しくなり、呼吸が浅くなる状態でした。心療内科の医師からも「今は無理をしないように」と助言を受けていました。

第二に、過去に同期が退職を申し出た際の会社の対応を目の当たりにしていたこと。同期は退職の意思を伝えた後、連日深夜まで引き止め面談が続き、最終的に退職できたのは申し出から2ヶ月後でした。その間、同期は明らかに憔悴していく様子が見て取れました。

第三に、新卒ですぐ辞める決断をした自分への罪悪感と恥ずかしさです。「たった3ヶ月で辞めるなんて社会人失格だ」という思いがありました。友人、家族にも相談しました。しかし「せっかく入った会社なんだから」「もう少し頑張ってみたら」という言葉が多く、誰も私の精神状態の深刻さを理解してくれませんでした

利用前に試したこと・相談した相手

退職代行を使う前に、私なりにできることは試しました。入社2ヶ月目に人事部の相談窓口にメールで現状を伝えましたが、「まずは直属の上司に相談してください」という定型的な返信のみで、具体的な支援はありませんでした。

また、大学時代の就職課の担当者や、友人、家族にも相談しました。しかし「せっかく入った会社なんだから」「もう少し頑張ってみたら」という言葉が多く、誰も私の精神状態の深刻さを理解してくれませんでした

労働基準監督署への相談も検討しましたが、当時の私は「残業代は一応支払われている」「パワハラの明確な証拠がない」という状況で、相談しても意味がないと思い込んでいました。今振り返れば、これは判断ミスだったと感じています。

退職代行サービスの選定から実行までの全記録

比較検討した3社と最終的に選んだサービス

退職代行サービスは数多く存在し、私は以下の3社を比較検討しました。価格、対応時間、法的なサポート体制を重視して選びました。

👉 退職代行の安全性を見極める方法

A社(弁護士法人運営):料金55,000円。弁護士が直接対応するため法的トラブルにも対応可能だが、料金が高め。
B社(労働組合運営):料金27,000円。団体交渉権があり会社と交渉可能。24時間LINE対応。
C社(一般企業運営):料金19,800円。最安値だが法的交渉はできず、会社への連絡代行のみ。

私は最終的にB社の労働組合運営サービスを選びました。理由は、団体交渉権があるため退職日の交渉ができること、料金が比較的手頃なこと、そして24時間対応で深夜でも相談できることでした。また無料求人紹介や一人暮らしであった為引っ越しサポート対応もあったことが決断の理由となりました。

新卒退職代行おすすめを探す際は、単に料金だけでなく、自分の状況に必要なサポート内容を見極めることが重要です。

実際にかかった費用の内訳(追加料金の有無)

実際に支払った費用は以下の通りです。

・退職代行サービス基本料金:27,000円
・追加料金:0円
・合計:27,000円

B社は追加料金が一切発生しない料金体系で、事前に説明された金額以外の請求はありませんでした。支払いはクレジットカードと銀行振込に対応しており、私は即日対応してほしかったためクレジットカードで決済しました。

一部の退職代行サービスでは、「有給交渉は別途料金」「会社からの連絡対応は追加オプション」といった料金体系もあるため、契約前に総額を確認することが大切です。

申し込みから退職完了までの時系列(LINEのやり取り実例)

実際の流れを時系列で記録します。新卒入社3ヶ月退職代行体験談として参考になれば幸いです。(※Tさんは入社3ヶ月目の退職を希望した為、有給休暇は発生していませんでした。)

月曜日 23:45 – LINEで初回相談。状況を説明し、翌日の出社前に対応してほしいと依頼。
月曜日 23:58 – 担当者から返信。翌朝7時に会社へ連絡することで合意。必要書類の写真送付を依頼される。
火曜日 0:30 – 雇用契約書、就業規則の該当ページをスマホで撮影して送信。料金決済を完了。
火曜日 7:02 – 「会社への連絡を開始します」とLINE通知。
火曜日 7:45 – 「会社に退職の意思を伝えました。本日から出社不要です」と報告あり。
火曜日 10:30 – 会社から私の携帯に直接電話あり(着信拒否設定)。
火曜日 14:00 – 退職代行担当者から「会社が本人への直接連絡を控えることに同意しました」と連絡。
火曜日〜金曜日 – 退職日、私物の返却方法について交渉。
翌週月曜日 – 退職日が正式に決定(申し出から2週間後)。
退職日の翌週 – 離職票、源泉徴収票が自宅に郵送で届く。

想像以上にスムーズで、申し込みから退職完了までわずか2週間でした。この迅速さが、精神的に追い詰められていた私にとって大きな救いとなりました。

会社からの反応と私が受け取った連絡内容

退職代行から連絡を受けた会社の反応は、担当者経由で聞いた限りでは「驚いていたが、本人の意思を尊重する」というものでした。ただし、初日に私の携帯に直接電話があったことから、完全に納得していたわけではないと推測されます。

私宛には、退職代行を通じて以下の連絡がありました。
・会社からの貸与品(PC、社員証、名刺)の返却方法
・退職書類の記入と返送
・有給休暇の残日数確認と消化についての確認
・健康保険証の返却

会社側の人事担当者からは「できれば本人と直接話したかった」というコメントもあったそうですが、退職代行を使ったことで法的には何の問題もなく手続きは進みました。退職代行を利用したことをバレる心配をしている方もいるかもしれませんが、守秘義務のあるしっかりした会社を選べばその心配はほぼありません。

👉会社の同僚や業界内にバレるリスク

退職代行利用後の時系列での心理・状況変化

利用直後(1週間):解放感と罪悪感の葛藤

退職代行を使った直後の1週間は、解放感と罪悪感が入り混じった複雑な感情でした。朝、目覚まし時計が鳴らない生活に戻り、出社しなくていいという事実に安堵する一方で、「自分は逃げたのではないか」「社会人として失格なのではないか」という思いが頭から離れませんでした。

特に、同期や先輩社員に申し訳ないという気持ちが強く、SNSを見ることもできない状態でした。夜中に突然目が覚めて、「明日会社に行かなければ」と焦る夢を何度も見ました。

しかし同時に、体調は明らかに回復の兆しを見せ始めました。吐き気や動悸はほぼなくなり、食欲も徐々に戻ってきました。心療内科の医師からも「環境から離れたことは正しい判断だった」と言われ、少しずつ自分の決断を肯定できるようになりました。

1〜3ヶ月後:転職活動と面接での説明方法

退職から1ヶ月後、転職活動を本格的に開始しました。ここで大きな壁となったのが、面接で退職理由をどう説明するかという問題でした。

当初は「退職代行を使った」という事実を隠そうとしていましたが、転職エージェントに相談したところ、「嘘をつくより、前向きな理由として説明した方がいい」とアドバイスを受けました。

私が最終的に使った説明は以下の通りです
「前職では、入社後に想定していた業務内容と大きく異なる配属となり、長時間労働と厳しい指導により心身の健康を損ないました。直接退職を伝える精神状態ではなかったため、第三者のサポートを受けて退職しましたが、この経験から自分に合った働き方や環境選びの重要性を学びました」

この説明で、約20社応募して5社から面接のオファーをいただきました。面接では、退職代行の使用自体を問題視されることはほとんどなく、むしろ「その後どう行動したか」「何を学んだか」を重視される傾向がありました。

新卒退職代行転職活動での影響は確かにありますが、説明の仕方次第で十分にリカバリー可能です。

👉更に詳しい情報はこちら

6ヶ月後:新しい職場での状況と振り返り

退職から6ヶ月後、私は従業員数30名ほどのWebマーケティング会社に転職し、働き始めていました。前職とは打って変わって、残業は月20時間程度、上司や先輩とのコミュニケーションも円滑で、「こんな職場もあるのか」と驚きの連続でした。

この時点で、退職代行を使った判断については「結果的には正しかった」と感じていました。もし前職に留まっていたら、心身の健康をさらに損ない、回復不可能な状態になっていた可能性が高いと思います。

ただし、後悔していることもありました。それは、もう少し他の選択肢を検討すべきだったということです。例えば、労働基準監督署に相談する、パワハラの証拠を記録する、社内の別の部署への異動を打診するなど、退職代行以外の方法もあったのではないかという思いです。

私(Tさん)の1年後の現在:客観的に見た判断の正しさ

あれから1年以上が経過した現在、私は新しい職場で充実した日々を送っています。仕事にもやりがいを感じ、プライベートの時間も確保できる生活です。

1年という時間が経過したことで、冷静に当時の判断を振り返ることができるようになりました。結論から言えば、退職代行を使ったこと自体は正しかったが、使う前にもう少しできることがあったかもしれないというのが正直な感想です。

その後「退職代行が本当に必要なケース」と「他の方法でも解決できたケース」があることを学びました。私自身のケースは、パワハラの証拠を記録し、労基署に相談していれば、会社側に改善を促すことができた可能性もあったと今では思います。

ただし、当時の精神状態では冷静な判断ができなかったことも事実であり、自分を守るための最終手段として退職代行を選んだこと自体は、後悔していません

【補足】ここからは私(いしゆみ)が法律事務所で約3,000件の退職に関する相談に関わってきた経験を踏まえて、感情的な部分だけでなく、客観的なデータや専門家の視点も交えながら、あなたの判断材料となる情報をお伝えします。

※当ブログの内容は、特定の行動や判断を勧めるものではありません。退職や労務問題は、 雇用形態・ 契約内容・会社の状況などによって大きく異なります。そのため、最終的な判断については、弁護士・労働基準監督署などの専門機関へご相談ください。

人事のプロの「退職代行利用者」の採用評価

大手企業人事担当者の本音

退職代行利用後のキャリアへの影響を知るため、私(いしゆみ)はネットで色々な情報を集めました。

まずは、従業員数1000名以上の大手メーカーの人事部長Aさん(40代男性)の意見です。

「正直に言えば、退職代行の利用自体はマイナス評価にはなりません。重要なのは、なぜその選択をしたのか、そこから何を学んだのかです。ただし、新卒で数ヶ月で辞めたという事実は、『適応力』や『ストレス耐性』の面で慎重に見る必要があります」

「当社では、退職代行を使った応募者でも、前職でパワハラや違法な長時間労働があった場合は、むしろ正しい判断をしたと評価します。逆に、単に『仕事が合わなかった』『人間関係が嫌だった』という理由だけで、自分から退職を伝える努力もせずに代行を使った場合は、コミュニケーション能力に懸念を感じます」

ベンチャー企業採用担当の退職代行利用への見解

次に、従業員数50名のIT系ベンチャー企業の採用責任者Bさん(30代女性)の見解です。

「ベンチャーでは、前職の退職方法よりも、その人の能力とカルチャーフィットを重視します。退職代行を使ったかどうかは、正直あまり気にしません。それよりも、『なぜうちの会社を選んだのか』『どんな価値を提供できるのか』を明確に語れるかどうかが重要です」

「ただし、面接で退職理由を聞いた時に、すべて会社や上司のせいにして、自分の改善点や学びを語れない人は採用しません。退職代行を使う状況に追い込まれたことは同情しますが、そこからどう成長したかを見たいんです」

転職エージェントが語る退職代行利用者の市場価値への影響

最後に、大手転職エージェントのキャリアアドバイザーCさん(30代男性)の、市場価値への影響についての見解です。

「退職代行の利用は、職務経歴書に書く必要はありません。面接で退職理由を聞かれた際に、正直に状況を説明すれば十分です。実際、私が担当した求職者の中で、退職代行を使った方は少なくありませんが、その後きちんとキャリアを築いている人がほとんどです」

「市場価値への影響は、業界や職種によって異なります。例えば、金融や大手メーカーなど保守的な業界では、早期退職自体がやや不利に働く可能性があります。一方、IT業界やベンチャーでは、転職回数や退職方法はあまり問題視されません」

「新卒退職代行後悔しないためには、次の職場選びが重要です。同じ失敗を繰り返さないよう、企業研究を徹底し、可能であれば職場見学やOB訪問を活用することをお勧めします」

退職代行利用の法律的リスクと権利

損害賠償請求される可能性は実際どれくらいか

退職代行を検討する際、多くの人が不安に感じるのが「会社から損害賠償請求されるのではないか」という点です。こちらも調べてみました。

結論から言えば、通常の退職で損害賠償請求が認められるケースは極めて稀です。民法627条により、労働者は2週間前に退職の意思を伝えれば、原則として退職できる権利があります。

ただし、以下のようなケースでは、理論上は損害賠償請求のリスクがあります。
・会社に重大な損害を与える意図的な行為があった場合(機密情報の漏洩、取引先への妨害行為など)
・重要なプロジェクトの責任者が、事前の引き継ぎを一切せずに突然退職した場合
・研修費用などの返還条項が労働契約に明記されており、一定期間内の退職の場合

しかし、新卒で入社数ヶ月の社員が退職代行を使っただけで損害賠償請求されることは、実務上ほぼありません。私が関わった約3000件の相談の中でも、実際に損害賠償請求に至ったケースは0件です。

会社が損害賠償請求をするには、「具体的にいくらの損害が発生したか」を立証する必要があり、そのコストや手間を考えると、現実的ではないと思われます。

有給消化・退職金・離職票の権利は守られるか

退職代行を使った場合でも、労働者の法的権利は守られます。具体的には以下の通りです。

有給休暇:労働基準法により保障された権利であり、退職代行を使っても消化する権利があります。会社が拒否することはできません。ただし、労働組合か弁護士が運営する退職代行でないと、有給消化の交渉ができない点に注意が必要です。

退職金:就業規則に退職金制度がある場合、自己都合退職でも支払われる権利があります。ただし、退職金の減額条項(勤続年数による支給率の違いなど)がある場合は、その規定に従います。新卒数ヶ月の場合、そもそも退職金制度の対象外であることが多いです。

離職票:雇用保険の失業給付を受けるために必要な書類で、会社は退職者の請求があれば発行する義務があります。退職代行を通じて請求すれば、通常2週間以内に郵送されます。

懲戒解雇と自己都合退職の違い

退職代行を使うと「懲戒解雇になるのでは」と心配する人がいますが、退職代行の利用自体は懲戒解雇の理由にはなりません

懲戒解雇は、労働者が重大な規律違反や犯罪行為を行った場合に、会社が一方的に雇用契約を解除する処分です。例えば、横領、暴力行為、重大な経歴詐称などが該当します。単に退職の意思を第三者を通じて伝えることは、懲戒解雇の事由には該当しません。

自己都合退職は、労働者の意思で退職することを指し、退職代行を使った場合も自己都合退職として処理されます。

ただし、退職代行を使った後、会社からの貸与品を返却しない、引き継ぎ資料の提供を拒否するなど、悪質な行為があった場合は、別途トラブルになる可能性があります。退職代行を使う場合でも、最低限の社会人としてのマナーは守ることが重要です。

業界・職種別|退職代行を使うべきか判断フローチャート

IT・エンジニア職の場合

IT業界は比較的転職が活発で、退職に対する理解も得られやすい傾向があります。エンジニア職で退職代行を検討すべきケースは以下の通りです。

退職代行の利用を推奨するケース
・長時間労働(月80時間以上の残業)で心身の健康を害している
・パワハラやセクハラがあり、出社が困難
・退職の意思を伝えたが、「プロジェクトが終わるまで待て」と数ヶ月も引き延ばされている
・技術的負債の押し付けやスケープゴート化されている

まず他の方法を試すべきケース
・単に仕事内容が合わない、スキルアップできない
・人間関係の不満(ハラスメントではない範囲)
・給与や待遇への不満

IT業界では、退職代行の利用自体はそれほど珍しくなく、転職市場での評価への影響は比較的小さいと思われます。ただし、プロジェクトの途中で突然抜けることは、技術者コミュニティでの評判に影響する可能性があるため、できる限り引き継ぎを行う姿勢が望ましいです。

営業職・接客業の場合

営業職や接客業では、人間関係のストレスや顧客対応のプレッシャーが大きく、精神的に追い詰められるケースが少なくありません。

退職代行の利用を推奨するケース
・上司からのパワハラ(罵倒、人格否定、無理なノルマの押し付け)
・顧客からのハラスメントに対して会社が適切な対応をしない
・違法な長時間労働(サービス残業の強要)
・退職を申し出たが、「後任が見つかるまで」と無期限に引き延ばされている

まず他の方法を試すべきケース
・ノルマ達成のプレッシャー(違法ではない範囲)
・同僚との人間関係の悩み
・配属先や勤務地への不満

営業職・接客業では、退職者の引き止めが強い傾向があります。特に人手不足の業界では、退職の意思を伝えても「もう少し頑張って」「せっかくここまで育てたのに」と感情に訴える引き止めが行われることが多く、断り切れない性格の人ほど退職代行の利用が有効です。

製造業・技術職の場合

製造業や技術職は、比較的保守的な企業文化があり、退職に対する理解が得られにくい場合があります。

退職代行の利用を推奨するケース
・安全管理が不十分で、労働災害のリスクが高い
・パワハラや古い体質の指導方法(暴言、暴力)
・違法な長時間労働や休日出勤の強要
・退職を申し出たが、「技術の流出」を理由に脅される

まず他の方法を試すべきケース
・仕事の単調さや繰り返し作業への不満
・キャリアアップの機会が少ない
・給与や待遇への不満

製造業では、引き継ぎが重視される傾向があります。特殊な技術や設備の操作方法など、属人的な知識がある場合、突然の退職は現場に大きな影響を与えます。可能であれば、最低限のマニュアル作成や引き継ぎ資料の提供を行うことが、円満退職につながります。

退職代行を使う前に試すべき最終チェックリスト

労働基準監督署への相談で解決できるケース

退職代行を使う前に、労働基準監督署(労基署)への相談を検討すべきケースがあります。特に以下のような違法行為がある場合、労基署の指導により状況が改善する可能性があります。

労基署への相談が有効なケース
・残業代の未払いがある
・違法な長時間労働(月45時間超の残業が常態化、36協定の未締結)
・休日出勤を強要される
・有給休暇の取得を拒否される
・最低賃金を下回る給与
・労働条件の一方的な不利益変更

労基署に相談する際は、証拠を揃えることが重要です。タイムカードのコピー、業務メールやLINEのスクリーンショット、給与明細などを準備しましょう。

私自身、法律事務所で相談対応をしていた経験から、労基署への相談で会社の違法行為が是正され、退職しなくても働き続けられる環境になったケースを多く見てきました。退職代行は「最終手段」であり、ご本人の体力・精神状態に余裕がある場合、まずは労基署への相談を検討する価値があるかもしれません。

社内相談窓口・労働組合の活用方法、

会社に社内相談窓口や労働組合がある場合、これらを活用することも選択肢の一つです。

社内相談窓口が有効なケース
・パワハラやセクハラの被害を受けている
・直属の上司に問題があるが、会社全体の体質は悪くない
・配置転換や異動で問題が解決する可能性がある

ただし、社内相談窓口には限界もあります。特に、中小企業では人事部が機能していない、相談しても「まずは上司に相談を」と言われるだけというケースも多いです。

労働組合が有効なケース
・労働条件の改善を求めたい
・集団で問題を解決したい
・会社との交渉が必要

労働組合がある会社では、組合を通じて会社と交渉することで、個人では難しい問題解決ができる場合があります。ただし、組合活動に時間と労力がかかること、組合がない会社も多いことがデメリットです。

メール・書面での退職意思表示という選択肢

直接対面で退職を伝えることが難しい場合でも、退職代行を使わずに退職する方法があります。それが、メールや書面(内容証明郵便)での退職意思表示です。

メールでの退職届の利点
・費用がかからない
・記録が残る(送信履歴、受信確認)
・対面のストレスがない
・自分の言葉で退職理由を伝えられる

内容証明郵便での退職届の利点
・法的に証拠能力が高い
・「退職の意思を伝えた日付」が明確になる
・会社が「聞いていない」と言い逃れできない

民法627条により、退職の意思表示から2週間経過すれば、会社の承諾がなくても退職できます。メールや書面で退職を伝え、2週間後を退職日として設定すれば、法律上は問題ありません。

もし精神的余裕があれば、まずメールで退職の意思を伝え、それでも引き止められたり無視されたりした場合に退職代行を使うという段階的なアプローチ方法もあるかもしれません。

本当に退職代行が必要な5つの状況

パワハラ・セクハラで出社が困難

退職代行が本当に必要な状況の第一は、パワハラやセクハラにより出社すること自体が困難な場合です。

具体的には、
・上司からの暴言、人格否定、脅迫
・セクハラ被害により職場に行くことが恐怖
・いじめや嫌がらせが組織的に行われている
・パワハラが原因で適応障害、うつ病などを発症している

このような状況では、自分で退職を伝えることは精神的に大きな負担となり、症状を悪化させる可能性があります。心身の健康を最優先するべきであり、退職代行の利用は適切な選択です。

Tさんの場合は上司からの叱責により出社前に吐き気を感じる状態だったため、直接退職を伝えることは不可能でした。このようなケースでは、退職代行は「逃げ」ではなく「自分を守るための正当な手段」です。

退職の意思を何度も拒否されている

第二の状況は、退職の意思を伝えたにもかかわらず、会社側が受け入れず引き延ばされている場合です。

具体的には、
・「後任が見つかるまで待て」と数ヶ月も引き延ばされる
・「今辞められたら困る」と感情に訴えられ断れない
・退職届を受け取ってもらえない
・「辞めるなら損害賠償を請求する」と脅される

法律上、労働者には退職の自由があり、会社が一方的に拒否することはできません。しかし、引き止め工作により精神的に疲弊し、退職できない状況に陥ることがあります。

私が経験した退職相談でも、退職を申し出てから実際に退職できるまで2ヶ月かかり、その間連日の引き止め面談で精神的に追い込まれている方がいました。このような状況では、退職代行を使うことで法的に適切な手続きを進められるかもしれません。

既に精神的に追い詰められ体調を崩している

第三の状況は、既に精神的に追い詰められ、体調を崩している場合です。

具体的には、
・適応障害、うつ病、パニック障害などの診断を受けている
・不眠、食欲不振、動悸、吐き気などの身体症状がある
・自傷行為や自殺念慮がある
・通常の判断力が低下している

このような状態では、通常の退職手続きを進める精神的余裕がありません。まずは医療機関を受診し、診断書を取得した上で、退職代行を利用して速やかに職場から離れることが重要です。

私も心療内科で「適応障害の疑い」と診断され、医師から「今は休養が必要」と言われた経験があります。あなたが同じ状況であれば無理に出社して退職を伝えることは、症状を悪化させる危険性があります。

親に言えない新卒退職代行を検討している方も、まずは信頼できる人や専門家に相談し、自分の健康を最優先に考えてください。親には後から説明することもできますが、失った健康は取り戻すのに時間がかかります。

【結論】新卒で退職代行を使った私(Tさん)から今伝えたいこと

後悔していること・良かったこと

新卒で退職代行を使ってから1年以上が経過した今、私(Tさん)が後悔していること良かったことをまとめてくれました。

後悔していること
・もう少し他の選択肢(労基署への相談、メールでの退職など)を試すべきだった
・パワハラの証拠をきちんと記録しておけば良かった
・親や友人にもっと早く相談すべきだった
・引き継ぎ資料を作成する余裕があれば、もう少し円満に退職できたかもしれない

良かったこと
・心身の健康を守ることができた
・早期に環境を変えたことで、適応障害が深刻化せずに済んだ
・新しい職場で充実した日々を送れている
・自分に合った働き方や職場環境を見極める目が養われた
・同じような悩みを持つ人の相談に乗れるようになった

総合的に見れば、退職代行を使った判断は間違っていなかったと思います。ただし、もう少し冷静に状況を分析し、段階的なアプローチを取れば良かったという反省もあります。

もしあなたが今、新卒で会社を辞めたいと悩んでいるなら、以下のアドバイスを参考にしてください。

1. まずは自分の状態を客観的に把握する
心身の健康状態、職場環境の問題点、法的に問題がある行為の有無を整理しましょう。感情的になっているときは、信頼できる第三者に相談することが重要です。

2. 証拠を記録する
パワハラの録音、残業時間の記録、業務メールの保存など、証拠を残しておくことが後々役立ちます。

3. 段階的なアプローチを試す
いきなり退職代行ではなく、社内相談窓口、労基署、メールでの退職意思表示など、他の選択肢も検討してください。ただし、心身の健康が危険な状態であれば、退職代行を使うことを躊躇しないでください。

4. 退職代行を使う場合は信頼できるサービスを選ぶ
労働組合か弁護士が運営するサービスを選び、料金体系が明確で、実績のあるサービスを選びましょう。

5. 退職後のキャリアプランを考える
退職することがゴールではなく、その後どう生きるかが重要です。転職活動、スキルアップ、場合によっては休養期間を設けるなど、計画を立てましょう。

キャリア形成における長期的な影響

新卒で退職代行を使ったことは、長期的なキャリアにどう影響するのか。これは多くの人が気になる点だと思います。

私(Tさん)の経験から言えることは、退職代行の利用自体が長期的なキャリアに致命的な影響を与えることはほとんどないということです。

重要なのは、その後どう行動するかです。退職後に自己分析を行い、自分に合った職場を見つけ、新しい環境で成果を出すことができれば、新卒での早期退職はキャリアの中で単なる「ひとつのエピソード」になります。

実際に私も今の職場で充実した日々を送り、上司からも評価されています。転職活動の面接で前職の退職理由を聞かれた際も、正直に状況を説明し、そこから学んだことを伝えることで、むしろ「困難を乗り越えた経験」として評価されました。

ただし、安易に退職を繰り返すことは避けるべきです。新卒で1社目を短期間で辞めた後、2社目も短期間で辞めると、「定着性がない」と判断され、転職市場での評価が下がる可能性があります。

新卒で退職代行を使うことは、人生の終わりでもキャリアの終わりでもありません。むしろ、自分に合わない環境から抜け出し、新しいスタートを切るチャンスです。後悔せず、前を向いて歩んでいってください。

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